平成12年11月15日

研修内容 宮大工 沖野幸平氏
 ビデオ試写会 「釿(ちょうな)と鉞(まさかり)」
 講演 「宮大工から見た使いやすい道具は?」

                講師:沖野工務店社長 沖野幸平氏
平成12年11月15日、与板金物振興協同組合の主催で研究集会が開かれました。当日は、皆さんご多忙の
中30人を越える人の出席がありました。出席者は、本日の講演者の分水町の宮大工 沖野幸平氏、
それともう二人の主役とも言うべき釿(ちょうな)鍛冶の高木順一氏(村のかじや)、鉞(まさかり)鍛冶の
古見誠一氏を始め、おなじみの碓氷さん、横坂さん、船津さん、田中さん、川野さん(河清社長)、小森さん
などの職人さん、与板町企画課 八子さん、ビデオ製作会社の吉田さんなどがお見えになりました。

最初に与板町企画課が与板の鍛冶屋さんの製造工程の保存の意味も込めて製作したビデオシリーズの
第4弾「釿と鉞」が上映されました。これ以前に「鉋」「ノミ」「木工」の3つのビデオがすでにできていたとの
事でした。(全然知らずにいました。-削ろう会で上映していて初めて知りました。)
その内容は、釿鍛冶の高木さんと鉞鍛冶の古見さんの製造過程が事細かく紹介され思わず引きこまれて
見入ってしまうほどおもしろいビデオでした。「これなら品物が高いなどとは言えないね」とあとで古見さんに
言ったら、「このビデオを持って値上げの案内を配るかな。」とみんなで大笑い。
 当社では、早速このビデオ4巻を購入しましたが、一般の欲しい人にも入手できるように現在交渉、
検討中です。(その後販売しております。)
次に削ろう会でもおなじみの宮大工の沖野幸平氏による「宮大工から見た使いやすい道具とは」の題目で
講演がありました。
@ 大工道具・使い手側から見た社寺建築
  一般の住宅建築は機能優先で低価格競争のためプレカット工法で新建材、ベニヤ、ボードの仕事が
   多くて大工道具をほとんど使わなくても出来て行くが社寺建築は部材の加工は100%手加工で大工
   道具が存分に使える。

A 鉋 使い手側から見た理想の鉋

  早く研げて長切れする事が理想だが、1回研いで一日中切れるものではない。  
  適当に切れて適当に研ぐ事が良いと思う。
  
ここで、質問がでて、「昔の刃物と今の刃物とどちらが切れますか?」の問いに「昔の名工の刃物で
  ものすごく切れるものは確かにあるが全体として比べれば今の鉋、ノミの方が切れると思う。」とうれしい
  答え。 一同安心の笑い。
B ノミ 
  梁・中引・大柱などの通し穴の中の節を削るには軽いノミは跳ね返されるので重いノミの方が良いと思う。
C 切り出し
  以前は数奇屋建築の竹細工などに使用されたり、板霧除けの持ち送りの加工などに使用された。
  建具屋さんは組子や隅丸などを削るのに使用した。
  今は手仕事が減り切り出しを使わなくなり残念。
  切りだしを使うことによって指先に神経がかよい、集中力を養い器用になると思う。
斧(よき)の両面についている筋の意味
  片面4本筋は地(大地)・水(雨)・火(太陽)・風(空気)を表し、もう片面の3本筋は御神(みき)で
御供物を表すそうです。
そのほか、鍛冶屋も遊び心が大切という事で、桶屋、船大工、車大工、指物大工などがほろびてゆく
なかで刀匠(かたなかじ)が残っているのは見て眺める美術刀剣として鍛え肌や刀紋に腕をかけて
競い合った結果だろうと言う重要な話もありました。
道具鍛冶屋も使い勝手ばかりにこだわらず使えて見ても飾っても良し、美術品として楽しめる遊び心に
ある鉋、ノミがあってもよいのではないだろうか。
大工道具を床の間や玄関に飾ってもサマになるがエンジンチェーンソーや電気カンナなどは床の間に
飾れない。で、一同大爆笑。

なごやかな中、そのまま懇親会へ。

碓氷さんと沖野さん 横坂さんと高木さん
碓氷さんと沖野さん。
碓氷さんと久々にお酒の席でごいっしょしました。
楽しそうに話す高木さん
横坂さんはお酒が飲めません。
河内鉋 沖野さん所蔵の鉋
大阪の人で「河内勘兵衛研がずに切れる」と
言われる鉋だそうです。
明治頃の鉋?などとみんなで
あれこれと盛り上がりました。


写真撮った時にはすでに酔ってたので
若干ピンぼけ?

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