純銅玄能 開発ストーリー

それはお客様からの注文メールの「通信欄」に記されていた一文から始まりました。
「削ろう会で使っているのを見たのですが銅ハンマーをHPで販売してください。」
銅ハンマー・・・そうか、以前は(今でも)玄能で鉋の頭を叩いてまくれて無残になった鉋をよくみるよなあ。
最近では大事な鉋は木槌で叩く人も増えてきたけど、銅ハンマーも鉋にやさしいからか。
残念ながら自分では「削ろう会」でまだその銅ハンマーを使っている人を見たことがなかったので、早速探してみたところカタログで簡単に見つかりました。
でもよく見ると形がヘン、そして重さも1ポンド(450g)で重そう。この業界の玄能とは違って板金屋さんや車屋さんなどが使ういわゆるハンマーという感じ。
他には見つからなかったので毎日仕事で鉋を仕込んでいる鉋の台屋さんに電話して聞いてみる。
 「・・・ということでこんな銅ハンマーが手に入ったんですけどどうでしょうか?」「それはぜひ一度使ってみたいですね。」ということになりました。
その夜、早速電話がきて「いままで新しい鉋の仕込みには木槌を使っていたのですが、どうしても力がうまく伝わらない時には玄能を使いたくなる時があったのだけど、これは力が伝わるし鉋の頭を叩いてもほとんど傷がつかないのでとってもいいです。でも・・・」
「でも?」
「微調整するには少し重いですね。」
「やっぱり。」(やはり鉋を叩く銅ハンマーとしてはムリだな。)と思ったところ、なんと!
「再加工はできませんか?」
「えっ?再加工?」
「銅は軟らかいので再加工は割と簡単だと思うのですが・・・。それほどこれはいいですよ。」
(そう言われても・・・。加工は簡単でも作業は簡単にしてくれないでしょう?)
「一応検討しておきます。」と言うことでひとまず電話を置く。

 翌日、メーカーに電話して出た女性スタッフに聞いてみるとあっさり「カタログに載っているものだけです。」
「ですよねえ。そう簡単に再加工はできませんよね。」ここでひとまず計画は頓挫。
 でも運命の女神はまだ見捨てていませんでした。

 数日後、なんとそのメーカーの専務が請求書を持って来社しようとは。
(毎月、来社されてはいるのですが顔を合わせるのは数ヶ月に一度くらい。)
なんたる偶然。ここで会ったが100年目、袖触れ合うも他生の縁(使い方まちがってないか?)
早速、いままでのいきさつを話すといとも簡単に
「やってみましょう。」
「えっ、やってくれるの?」こちらが拍子抜けするくらいに簡単に引き受けてくれました。

 数日後、既製の銅ハンマーの両側面を削って軽くした数種類の試作品をわざわざ持参してくれました。
削りすぎると柄を入れる部分が薄くなりすぎふくらむ事も判明。 
その中からいろんな人の意見を参考に300gタイプ(柄付400g)を選び、ここに一大プロジェクトが完成したのだった。

その後、出張に持参して小売屋さんでお会いした大工さんに見ていただきましたが、何人かの人からはその場で注文をいただき、「他にも何か使い道がありそう。」と言われました。
特に使い方を限定することはなく、あくまで「道具」ですので便利な使い方がありましたらどんどんご活用ください。

注)・「削ろう会」で使っていたという銅ハンマーと同一品ではありません。

・一本ずつ再加工するので大きさ、重さに多少の違いがあります。

・ 叩くものに傷をつけないことを保証する訳ではありません。
 (同じところを何回も叩くと少し光る感じになります。)

・玄能自身は、純銅製で軟らかいので(だから鉋にやさしい)簡単にへこんだり
 変形します。
 その際には、鉄工ヤスリ・グラインダー等で修正しながらお使いください。

・ ご存知のように現在は銅の価格が急騰しているので現在の在庫が
 なくなり次第、予告なく販売を終了いたします。